「パートナーシップ構築宣言」の目指す世界

補助金の申請時に、加点項目として「パートナーシップ構築宣言」という言葉を見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。
加点になるなら、まずは宣言しておこうと考えた企業もあるかもしれません。ですが、この宣言には、これからの企業経営のあり方を考えるうえで、とても大切な意味が込められています。

いま日本経済は、「失われた30年」といわれる長い停滞に加え、少子化、物価高、円安など、さまざまな課題に直面しています。こうした厳しい環境の中でも、私たちが豊かな経済社会を維持し、発展させていくためには、これまで当たり前とされてきた考え方や行動を見直していく必要があります。

「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーンに関わる企業同士が、立場の違いを超えて協力し合い、新しい価値を生み出していこうという考え方を表すものです。いわば、「共創」を目指す宣言だといえるでしょう。

これまでの商習慣には、大企業が仕事を出し、中小・小規模事業者がそれを受けるという関係が色濃くありました。その仕組みが機能していた時代もありましたが、今は市場の変化が激しく、従来のやり方だけでは対応しきれなくなっています。

大企業には、大きな規模や安定した供給力という強みがあります。一方で、中小・小規模事業者には、意思決定の速さや小回りのよさ、現場に密着した柔軟な対応力があります。これからは、どちらが上か下かではなく、それぞれの強みを持ち寄り、対等なパートナーとして連携していくことが大切です。そして、そこから生まれた成果を適切に分かち合うことが、よりよい経済の循環につながっていきます。

中小・小規模事業者に求められるのは、自社の強みを明確にし、それをさらに磨いていくことです。小さい企業だからこそ、変化への対応を早く進められる強みがあります。

見方を変えれば、これからは「仕事をもらう側」でいるだけでなく、「ぜひ一緒に取り組みたい」「力を貸してほしい」と言われる存在を目指せる時代だともいえます。パートナーシップ構築宣言は、そのような関係づくりへの第一歩とも言えるでしょう。

きらりと光る価値ある企業を目指して、まずは自社の強みは何か見つめなおしてみてはいかがでしょうか。そして、取引先とどのような価値を共に生み出せるのかを考えることが、なくてはならないパートナーとしての存在価値を高めてゆくはずです。

尾﨑樹里子

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