知的資産を活かす!強みを磨き成長を、加速させるPDCAサイクルとKPI

皆さん、こんにちは。中小企業診断士の木内清人です。

これまで、このコラムでは、皆さんの会社の「知的資産(強み)」を発掘し、それを「知的資産経営報告書」という形にして、外部へ向けて発信する重要性をお伝えしてきました。
報告書を外部に発信し、関係者や取引先の信頼度を高めることは非常に大切です。しかし、それ以上に重要なのが、社内で活用し会社の成長に繋げることです。

せっかく発掘し、見える化した強みも、活用しなければ宝の持ち腐れになってしまいます。報告書はゴールではなく、事業戦略を実現するための手段です。記載した事業戦略を実現するためには、既存の知的資産を強化して、さらに活用し続けることが必須です。こうした強みの継続的な活用こそが、会社の成長を持続させる「経営の仕組み」そのものとなります。

第6回となる今回は、知的資産を社内で継続的に活用し、成長サイクルに乗せていくための具体的な考え方、PDCAをどう日々の経営に生かしていくかと、その検証に欠かせないKPI設定のヒントをご紹介します。

知的資産経営を成功させる秘訣は、「強みを活かし、その効果を測り、さらに磨く」というサイクルを回し続けることです。
例えば、あなたの会社の強みの一つである「高度な接客ノウハウ(人的資産)」を活かし、「固定客の売上比率を上げる」という事業戦略を実現するためのPDCAを見ていきましょう。

【計画(Plan):報告書を戦略の土台とし、KPIを設定しましょう】
「知的資産経営報告書」には、今後の事業戦略(例:固定客売上比率の向上による顧客基盤の強化)と、その実現のために「強化すべき知的資産」(例:接客ノウハウ)が記載されます。
この際、計画の達成度を測るためのKPI(重要業績評価指標)を具体的に設定することが重要です。知的資産の貢献度を「数字」で見える化できるのが、KPIの大きなメリットです。
・戦略目標: 固定客の売上比率を現行の30%から次期には35%に引き上げる。
・強み(知的資産)の強化: 「ベテラン社員の優れた接客ノウハウ」を全社員に共有・定着させる。
・KPI(重要業績評価指標):
顧客関連: リピート率、顧客満足度(CS)スコア、顧客からの紹介件数
社員関連: 接客マニュアルの理解度テスト平均点、従業員一人当たりの顧客フォロー回数

【実行(Do):設定したKPIにそって業務を行いましょう】
計画で設定したKPIを達成するため、日々の業務や新たな取り組みを、KPI達成を意識した行動として実行します。
・例えば、「接客マニュアルの理解度テスト平均点90点以上」というKPIが設定されていれば、社員は日々のOJTや研修に取り組みます。
・「顧客フォロー回数」というKPIが設定されていれば、営業担当者は顧客管理システムを活用し、KPI達成に直結する活動を実行します。

【検証(Check):設定したKPIで成果を客観的に測りましょう】
強みが、計画通りに企業の成長に貢献したのかどうかを客観的に検証しなければ、次のアクションには繋がりません。
計画の段階で設定したKPIを用いて、実績を定量的に測定します。
例えば、計画で立てた「固定客売上比率35%」の達成度を測定し、目標に届かなかった場合は、どの部分が伸び悩んだのかを具体的に見ていきます。「リピート率は上がったが、CSスコアが伸び悩んだ」といった具体的な結果から、原因を深く掘り下げて分析します。KPIを用いることで、何が不足していたのかがはっきり見えてきます。

【改善(Action):強みを磨き、次期戦略にフィードバックしましょう】
検証結果に基づき、次の成長に繋げるための改善策を検討し、実行します。
・KPIが未達だった場合、それは「強み」(接客ノウハウ)そのものが不十分なのか、「強みの使い方」(マニュアルの伝え方)に問題があるのかを見極めます。
・見極めに基づき、強みをさらに強化・改善する(例:接客研修内容のテコ入れ、新たなノウハウの体系化)か、あるいは次期の計画に反映します。
・この改善を通じて得られた経験は、年一回程度の頻度で知的資産の「棚卸し」と報告書の改訂に活かされ、次期の計画をより質の高いものにします。

まとめ:知的資産経営を実行することが企業価値を高めます
知的資産経営は、外部へのアピールももちろん大切ですが、その成果を最大化するのは、内部でPDCAサイクルを回し続けることにかかっています。

PDCAサイクルとKPIを経営にしっかりと組み込むことで、知的資産は「企業の成長を持続させるためのエンジン」へと進化します。

まずは、あなたの会社が持つ最も重要な強みを一つ選び、それを成長させるためのKPIを設定し、小さなサイクルからで構いません、まずは今日から、小さく回してみてはいかがでしょうか。この知的資産経営の実行こそが、激しい市場競争を勝ち抜き、企業の企業価値を高める、最も確かな一歩になります。

第1回 皆さんの知的資産(強み)を経営に活かしましょう
第2回 知的資産(強み)を発掘!見える化しましょう
第3回 知的資産経営報告書を活用!知的資産(強み)を知ってもらいましょう
第4回 知的資産経営報告書を配布しよう!会社案内との違い
第5回 SWOTワークショップを実施!知的資産(強み)を発掘しましょう

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