異議あり!「事業再構築補助金」 その1

「事業再構築補助金」は、従業員数20人以下の小規模事業者でも第1回、第2回公募では最高6,000万円、第3回~第5回までは最高4,000万円、第6回以降は最高2,000万円という破格の高額補助金を手にすることができる画期的な補助事業です。その名のとおり、新分野展開、業種転換、業態転換等、新たな取組を行おうとする企業にそのための建物建設費、機械装置購入費、広告宣伝費等の2/3を補助するというものです。

コロナで危機に陥って、新たな取組で活路を見出そうとしている企業にとっては、本当にありがたい補助金であり、私も意義があるものと考えています。

しかしこの補助金の制度設計、運用面において問題点が多々あるのも事実です。皆さんにも一緒に考えていただきたいと思います。

 

  • 消費税の免税事業者(簡易課税選択事業者も含む)に対する不平等な補助金

事業再構築補助金「公募要領」には、「補助対象経費」と補助対象経費全般にわたる留意事項として「補助対象にならない経費」が列挙されています。「補助対象にならない経費」のひとつに「公租公課(消費税及び地方消費税額)」があり消費税は補助金の対象として認められておりません。

消費税を補助対象として認めない理由ともとれる文言が、「補助事業者の義務(交付決定後に遵守すべき事項)」に掲載されています。(下記枠内参照)

交付申請書提出の際、消費税及び地方消費税額等仕入控除税額を減額して記載しなければなりません。

※補助事業者が課税事業者(免税事業者及び簡易課税事業者以外)の場合、本事業に係る課税仕入に伴い、消費税及び地方消費税の還付金が発生することになるため、この還付と補助金交付が重複しないよう、課税仕入の際の消費税及び地方消費税相当額について、原則としてあらかじめ補助対象経費から減額しておくこととします。この消費税及び地方消費税相当額を「消費税等仕入控除税額」といいます。

この内容をひとつの例で説明すると(補助金には補助率がありますが、計算が面倒になるのでここでは補助率10/10として記載します。)本体価格10,000,000円、消費税1,000,000円、税込み11,000,000円の機械を購入し消費税を含めた11,000,000円を補助金の対象としてしまうと、消費税の課税事業者で本則課税を適用している事業者の場合、補助金で消費税分1,000,000円をいただいたうえに、購入した期の確定申告で消費税の申告をした際、消費税等仕入控除税額として1,000,000円が消費税額の計算上減額(上述の枠内では還付金)されるため、国という行政単位で見た場合、補助金と消費税減額で消費税相当額を企業は2重取りすることになってしまいます。

これを回避するためには、補助対象経費から消費税を除外すればよく、2重取りにはなりません。消費税を補助対象経費として認めないのは本則課税の課税事業者にとっては当然のことであり、公募要領に記載してあることは間違っていません。

 

問題は消費税の免税事業者(2期前の課税売上高が10,000,000円以下)と簡易課税事業者(2期前の課税売上高が50,000,000円以下で簡易課税選択届を提出している事業者)の場合です。免税事業者はそもそも消費税の申告はしませんので、申告によって消費税額が控除(還付)されることはありません。簡易課税事業は、課税売上高に業種ごとのみなし仕入率を乗じて消費税等仕入控除税額を算出していますので、申告はしますが何を購入しようが購入したものの消費税額が減額(還付)されることはありません。納付する消費税額は売上高だけで決まってしまうからです。

 

したがって、本則課税の事業者は、本体価格は補助金で賄い、その消費税分は消費税の減額(還付)で賄うため消費税込みの金額を国で賄ってもらうことになりますが、免税事業者と簡易課税事業者は本体価格は補助金で賄ってもらえますが、その消費税分は自己負担ということになります。本則課税適用の比較的規模の大きな中小企業者は税込みで国が負担し、売上が極小の免税事業者等が消費税を自己負担しなければならないのは、明らかに制度上不平等であり、納得がいきません。国による免税事業者等に対するいじめではないかと思うくらいです。

 

因みに同じ中小企業庁の補助金の中に「小規模事業者持続化補助金」があります。この補助金の「通常枠」はわずか500,000円ですが、こちらの場合は、免税事業者及び簡易課税事業者の場合、税込み金額を補助対象経費として認めています。そして本則課税事業者の場合は、消費税を補助対象経費から除外する方式をとっており、免税事業者及び簡易課税事業者が不平等にならない配慮がなされています。なぜ同様のことを事業再構築補助金でもやらないのか全く理解に苦しみます。

このような不平等解消のためには、この事業再構築補助金の第1回採択者分から遡って免税事業者、簡易課税事業者に対して中小企業庁は、消費税相当分を支払うべきと考えます。

こうすることで免税事業者等の不平等は解消されるかと思われますが、実はこれだけではすべて解決とはいかないのです。なぜか?・・・・・

to be continued

金丸修一

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