事業承継支援の難しさ

国の事業承継支援が加速しています。長野県でも今年度から、「プッシュ型事業承継支援高度化事業」が立ち上がりました。県のリーダーシップの下、地域の商工会・商工会議所、金融機関、士業等のネットワーク化を図り、早期・計画的な事業承継準備を図るため、

「事業承継診断」の実施等を通じ、事業承継ニーズを掘り起こしていく取り組みが始まっています。事業承継に関する税制、金融支援策も大きく変化しています。

事業承継ネットワーク構築事業)

(出所:中小企業基盤整備機構「平成30年度事業承継支援者・専門家向け研修資料」)

 

最近、事業承継に関する相談で、会社を訪問する機会がありました。1社は、会長と社長の折り合いが悪く、その影響で若い社員が多く辞めてしまっている案件でした。もう1社は、既に引退した先代と、現社長(義理の息子)の間で、株の譲渡についてトラブル(先代が株の譲渡を拒否)が発生している案件です。

どちらの案件も、当事者双方には言い分があり、決してどちらが悪いと判断はできません。ただ気になったのは、いずれも自分の事を優先し、従業員や取引先といった周囲への影響はあまり考えていない様に見受けられた事です。事業を引き継いでいくために、後継者探しは最優先の課題です。しかし事業が引き継がれても、「経営の承継」について様々な問題が発生しています。改めて事業承継支援の難しさを考えさせられました。

柳澤智生

 

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