経営の「羅針盤」としてのFP&A ― 財務の視点を活かす中小企業診断士の新たな役割

皆様、こんにちは。中小企業診断士の中澤香織です。 私は普段、企業の財務部門に身を置きながら、企業内診断士として活動しています。日々、数字と向き合う中で、最近特にその重要性を実感しているのが「FP&A(Financial Planning & Analysis)」という役割です。

欧米企業では一般的ですが、日本でも近年、大手企業を中心に導入が進んでいます。今回は、このFP&Aという考え方が、なぜ我々中小企業診断士の活動、そして中小企業の経営支援において強力な武器になるのかをご紹介したいと思います。

FP&Aとは何か?

FP&Aを一言で言えば、「財務的な分析を通じて、経営意思決定をサポートするパートナー」です。 従来の経理・財務が「過去の数字を正確に記録する(決算)」ことに重きを置くのに対し、FP&Aは「未来の数字を予測し、戦略を立てる(管理会計・経営企画)」ことに主眼を置きます。

具体的には、予算策定や予実管理はもちろんのこと、投資対効果の分析、キャッシュフロー予測、そして経営層に対する提言など、多岐にわたります。

なぜ中小企業診断士に適しているのか

私は、このFP&Aの役割こそ、中小企業診断士の知見が最も発揮される領域の一つだと考えています。

  1. 「点」ではなく「線」で捉える力 診断士は、財務だけでなく、マーケティング、生産管理、人事労務など、経営を多角的に俯瞰する訓練を積んでいます。「なぜこの経費が増えたのか?」という問いに対し、財務諸表上の数字だけでなく、現場のオペレーションや市場環境の変化と結びつけて分析できるのは、診断士ならではの強みです。
  2. 共通言語としての「数字」を扱う 経営者の想いやビジョンを具現化する際、数字は最も客観的な共通言語になります。FP&Aの視点を持つ診断士は、経営者の「やりたいこと」を財務モデルに落とし込み、「いつまでに、どれくらいの利益が出るのか」を可視化することで、納得感のある意思決定を後押しできます。

中小企業の現場でこそ求められる「未来の視点」

多くの中小企業では、日々の資金繰りや決算業務に追われ、将来のシミュレーションまで手が回らないのが実情です。 しかし、不透明な経済状況の中だからこそ、「もし売上が10%下がったら?」「原材料が高騰したら?」といったシナリオ分析を行い、あらかじめ打ち手を考えておくFP&A的なアプローチが、企業の生存率を高めます。

財務部員として社内の数字を深く見つめる経験と、診断士として外からの視点で経営を診る経験。この両輪を回すことで、単なる「コンサルタント」に留まらない、経営者に伴走する「戦略的財務パートナー」としての価値を提供できるはずです。

私自身も、日々の業務を通じてこのスキルを磨き、長野県の企業の皆様が自信を持って次の一手を打てるよう、より質の高い支援を目指していきたいと考えています。

 

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