日本の医療は今、歴史的な岐路に立っている

中小企業診断士の今井です。近年、「医療機関が赤字」のニュースが目に付きます。これまで以上に「医療×経営」の視点が求められています。私は普段、医療介護業界に関わっていますので、本日は医療の現状と今後についてお伝えします。
1. 医療現場の「コスト増」と「収入の壁」
医療機関の経営環境は厳しさを増しています。物価や人件費は上昇し続ける一方で、診療報酬は財政制約から大きく増やせず、費用増を収入に転嫁できない構造は変わりません。
11月末の閣議決定により、補正予算で一定の支援策が示されたものの、あくまで一時的な支援に過ぎません。国防費や成長産業への投資など、他分野への財源需要が高まる中、医療費抑制の圧力は今後さらに強まる気配です。最近話題の「OTC類似医薬品の保険適用除外」の議論は、まさにその象徴といえるでしょう。
2. 「医療DX」が突破口に
厳しい経営環境の中で鍵となるのが「医療DX」です。 12月からの健康保険証の原則廃止とマイナンバーカードへの移行は、単なるツールの変更ではありません。これは「全国医療情報プラットフォーム」の構築に向けた大きな一歩であり、電子カルテ情報が全国で共有されることで、重複検査の防止や医療安全の向上に寄与します。
他にも、遠隔医療やオンライン診療、さらにはAIによる患者のトリアージなど、テクノロジーの進展は不要不急の受診を抑え、医療資源を「本当に必要な人」に集中させることができます。特に人手不足が深刻な地域では、これらの技術は今後重要性を増すでしょう。
3. 旧態依然の収入モデルからの脱却
しかし、技術革新だけでは補いきれない構造的課題も残ります。人口減少に伴う患者数の減少、国の政策による病床削減や医療費削減。今までのようにやっていては、収益の維持は困難です。地域によっては、医療機関の統廃合が加速し、大きな転換を迫られる場面も増えるはずです。
また国民皆保険制度も岐路に立っています。制度を支えてきた人口構造は変化し、超高齢化社会により、制度そのものの存続が危ぶまれています。今後は混合診療の拡大や自己負担の見直しといった議論もされるでしょう。
病院経営者は「変化に翻弄される」のではなく、「変化を先読みし、柔軟に自院を適応させる」姿勢が求められています。
4.まとめ
2026年には診療報酬改定が控えています。まさに今、日本の医療は歴史的な転換点にいます。 複雑な環境下で、「医療の質」を落とさずに、経営を成り立たせるには以下の視点が重要です。
〇医療DXの活用:生産性向上とムダの削減
〇収入構造の変革:診療報酬改定に柔軟に適応
〇補助金の活用:国の施策に合わせた機能強化
〇人的資本経営:働きやすい職場づくりと魅力的な人事制度の構築
特に、「人への投資」は極めて大事です。医療介護は人ありきの業種です。経営難などのネガティブなニュースが多い今だからこそ、従業員が誇りを持って、気持ちよく働ける職場環境を整えることが大切です。そういう病院がこの厳しい環境で生き残るのだと思います。








