文化的知性の重要性

国内の人口は縮小し、GDPもドイツとインドに抜かれ、日本国内の経済はこのままいけば、衰退していく可能性があります。これまで国内の企業に目を向けていた中小企業は、売上拡大のため、世界に挑戦する企業が増えてきました。インターネット技術が発展したことで、日本にいながら海外顧客と打ち合わせやインターネットを介して売買も可能になりました。下記では、そんな海外市場展開を目指す企業にとって重要な文化的知性(Cultural intelligence)ついてご説明します。

文化的知性(CI)とは、「個人や集団の行動から、すべての人や集団に共通する特徴、その個人や集団に特有の特徴、そして普遍的でも特異的でもない特徴を区別し、見極める能力」です。また、不慣れな文化的環境にうまく適応する能力でもあります。
この文化的知性のフレームワークには、4つの構成要素があります。それは、知識、戦略的思考、モチベーション、行動です。これらを文化的知性のABCで例えると、獲得(Acquire)、構築(Build)、熟考(Contemplate)、実行(Do)になります。

はじめに、異なる文化を持つ人と交流するのに、相手を理解する必要があります。その人や組織の文化がどのように創造され、解釈され、共有されるのか、また文化的解釈、意味、象徴がどのように行動や態度に影響を与えるのかを知る必要があります。相手の文化を理解するのに、事前に客観的知識は非常に役立ちます (知識獲得)。次に、戦略的思考の構築です。戦略的思考は、知識をどのように考え、理解し、そしてより良いパフォーマンスを発揮し、異文化の方とどのように関われば、相乗効果を発揮できるかを検討するのに重要です。知識と事実確認を基にどのように情報を整理し、解釈し適切に行動するかが、重要になってきます。三つ目に、モチベーションで、不慣れな状況に対する対応だけではなく、周囲の状況に注意を払う能力です。これは、私たち自身の興味、意欲、やる気を振り返ることであり、文化的な相互作用を通じて、また文化的な相互作用とともに働こうとする意欲でもあります。モチベーションがなければ、他者と協働しようと思いません。最後に、適応と実行です。ここで重要になるのが、自分自身の選択が周囲の人にどのような影響を与えるかを意識することです。自分自身の信念や価値観が他人にどのように影響するか、また、他人が私たちをどのように見ていて、それに対してどのように対応するのか、周囲の環境を理解して行動を変えること重要です。

教科書に書かれている説明では、わかりづらいため、具体的にどのような場所で活用できるかを書きに記載します。
例えば、中小の製造業が東南アジアに営業所を設置し、販売拡大を狙ったとします。現地採用の社員と共に日本人社員は働きますが、日本と同様の働き方、コミュニケーションを行っては関係が悪化し、早期退職につながる可能性もあります。会社には早朝に出社し、夜は12時を超えてから帰宅する、または会社に寝泊まりすることが良いとされる文化を現地社員に押し付けても反発を生み、すぐに離職者がでます (最近は日本でもこの文化も少なくなったと思います)。そのため、企業は現地の日本人社員にその国の文化や価値観、言語の研修を受けさせ、現地日本人社員に事前知識をつけさせます。そのうえで、現地社員の考え方や文化を実践で学び、どのようにコミュニケーションや育成を図っていくべきか計画を立て実行していきます。また、企業は現地日本人社員だけでなく、現地社員のモチベーションが低下しないよう、密にコミュニケーションをとり、お互いのやる気や関係を向上させる施策を検討します。現地社員や日本人社員のモチベーションの維持は、企業にとって一つの大きな課題のようです。最後に、お互いの文化や価値観を共有させ、どのように関係を維持することで、チームのパフォーマンスが上がるか検討し、実施していきます。
私が海外勤務をした際には、まずはその国の文化を知り、適応するように努力しました。日本人が外国人観光客に、日本のルールに従えというように、相手の国の方もそのように思っています。まずは、現地の考え方や文化を学び、日本人さを出しつつ、その国の人らしく振舞いました。社員も様々な国出身の方が働いていたため、一人一人の文化や価値観を理解し、その上でその人に合った役割・仕事を割り振ったり、依頼したりしました。日本人の当たり前は全く通用しないため、予想外の出来事(顧客との大事な打ち合わせの場でその人が中心だったにもかかわらず、お祈りのために急遽退席する等)が起こることもありましたが、これも良い経験と私はモチベーションを維持していました。最後には、その企業文化に溶けこんで、他の社員から「20年現地勤務者」のように見えると言われるくらい、馴染んでいました。人を尊重しつつ、自分自身を積極的に表現することが重要でした。

上記の例は、あくまで海外に関してですが、世代の違う顧客、サプライヤー、同僚にも文化的知性は活用できます。一方的に組織に同調させて、人を働かせるという文化は、世界でも終わり、これからは、個人の価値観や文化、そして企業の価値観や文化を尊重しつつ、働くことが重要視されてきています。もし、海外展開をサポートされる際は、この記事を思い返していただければ幸いです。

東 裕之

関連記事

  1. 中小企業省力化補助金
  2. フルマラソンをやる理由
  3. 知的資産経営報告書を配布しよう!会社案内との違い
  4. 新しい収益認識基準の適用について
  5. 新事業を考える時間は「楽しい時間」?
  6. 準備しておかねば・・・
  7. 事業承継
  8. お得な「制度融資」について
PAGE TOP