中小企業にRPAは必要か?

中小企業診断士の等々力です。ここ1~2年、長野県内の各企業様向けにRPAのハンズオン形式での研修をご依頼いただくことが何度かありました。そこで今回はRPAに馴染みのない方向けに、その概要と必要性について簡単にご説明できればと思います。

1. RPAとは何か?:文句を言わない「理想的な同僚」
RPA (Robotic Process Automation) は、簡単に言えば、人間が主にパソコン上で行っている「定型的・反復的な事務作業」を、ロボット(ソフトウェア)が代行してくれる技術のことです。有名どころのソフトウェア(クラウドサービス)としては、Microsoft Power Automate、WinActor、UiPathなどがあります。
またアメリカなどではRPAを「デジタルレイバー(仮想的な労働者)」と呼ぶこともあります。新しい人間を雇うのは面接や教育が大変ですが、RPAなら文句も言わず24時間365日働いてくれます。私たちがやりたくない単純な転記作業や、大量のデータ入力を黙々と、しかも正確にこなしてくれる……。ある意味で「理想的な同僚」とも言えるかもしれません。

2. 中小企業でもRPAを導入したほうが良い?
「RPAって大企業のものでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに導入自体は大企業のほうが進んでいます。ただ、一般的に大企業より人手不足が深刻で、誰かが休んだら即業務停止…というリスクが高い中小企業こそ、導入するメリットが大きいとも言えます。また「定型的な業務」をロボットに任せることで、もっと人間にしかできない付加価値の高い仕事の時間を確保できるという効果もあります。これは今や同業他社との差別化というより、「同業他社と同じ土俵に立つための必要条件」と言えるのかもしれません。
そして実際に中小企業の現場でも、RPAを使ってそれを実現している事例もあります。例えば以下のような事例です。
• 卸売業
月次の入力作業や会計処理にRPAを導入し、従来1日がかりだった作業時間をわずか30分に短縮した。
• 不動産業
物件情報のWeb更新作業や登録作業を夜間にロボットに行わせることで、月200時間以上の工数を削減した。
• 建設業
システム間のデータ転記作業やドライバー情報の管理などを自動化し、全社で月間100時間の作業工数を削減した。
• 小売(EC運営)
各ECモールでの請求作業や在庫連携、納品リスト作成を自動化し、月間約50時間の工数削減を実現した。

3. RPAを導入する際の注意点
・・・とはいえ、いきなりRPAを導入しても成功する確率は高くなりません。以下の点に注意して、進めるのが良いでしょう。
• 小さく始める(スモールスタート)
いきなり大規模に導入して失敗すると費用的・人的なダメージが大きすぎます。まずは試用版・無償版など低コストでPC1台から始められるRPAツールを選び、小さな業務で検証したり、試してみるのが賢明です。
• 単純かつ大量の作業(業務)を選ぶ
RPAは複雑な判断が必要な業務や例外が多い業務は苦手です。逆に言えば、手順が決まりきった単純作業は大の得意です。またRPAのシナリオ(フロー)を作ったりメンテナンスする際の費用対効果も合わせて考えると、毎日・毎週のようにしなければならない大量の作業を選ぶのが望ましいです。
• 外部のリソースを頼る
社内にITに詳しい人がいない場合、無理に自分でやったり誰かに負担が偏ったりすると早々に頓挫しがちです。導入初期の段階だけでも外部の専門家にサポートしてもらったり、場合によっては開発や保守を外部の専門家に委託する(派遣サービスなど)のも一つの手です。またRPA導入を念頭に置きつつ、その前段階として業務フローの可視化と「ムリ・ムダ・ムラ」の洗い出しができれば、なお良いでしょう。
• 補助金を活用する
コストを抑えつつ本腰を入れて取り掛かるためには、各種補助金制度があればそれを積極的に活用することで、RPA導入のハードルは下がるでしょう。

4. まとめ
RPAはAIと比べて地味ではありますが、特にホワイトカラーの従業員にとっては「面倒な作業を減らし、定時で帰るための強力なツール」の一つです。また最近では生成AIと組み合わせて、メールの文面作成など「考える」作業まで自動化する事例も出てきています。
とにかく使えるものはRPAでも何でも使って、少しでも効率化を進め、その空いた時間を人間にしかできない創造的な仕事に振り向けていく。もしくはそれを働き方改革に繋げて従業員満足度を高めていく。そういった実際の計画・行動こそが、この厳しい時代を生き抜くための中小企業の生存戦略の一つと言えるのではないでしょうか。

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