ワーカホリックに陥らないために

中小企業診断士の竹村哲司です。
2025年4月号の『ハーバード・ビジネス・レビュー』の特集は「持続可能なハードワーク」でした。それを見た私は、「これはいい!どんな内容だろう?」と興味を持ちました。さっそく妻に話したところ、「私は嫌だ」と笑いながら流されてしまいました。彼女の反応が、実は本質を突いているのかもしれません。
真面目で一生懸命な人ほど、知らず知らずのうちにワーカホリックに陥ってしまっているのではないでしょうか。特に、時間の裁量が大きい私たち診断士や経営者は、自分でブレーキをかけない限り、延々と仕事をしてしまいがちです。「寝てないんだよね」「予定が詰まりすぎていて…」なんて、つい口にしていませんか?
ワーカホリックには、アドレナリンやドーパミンといった脳内物質も関与するそうです。達成感や高揚感がクセになり、気づけば「働くこと」自体が目的になってしまうこともあります。
それって、本当に望んでいた状態なのでしょうか?
「木こりのジレンマ」という、よく知られた萬話(よろず話)があります。刃を研ぐ時間を惜しんで切り続けた結果、どんどん効率が落ちていく―そんな状態、思い当たる方もいるのではないでしょうか。
また、目の前の仕事ばかりに追われていると、目先の成果に意識が偏り、本来必要な視点や判断が後回しになることもあります。
参考になるのが「アイゼンハワー・マトリクス」です。米国の第34代大統領アイゼンハワー氏が提唱した、タスクを「緊急」「重要」で整理する考え方です。現実的な判断を重視していたアイゼンハワー氏は、NASAの設立も在任中に実現しています。60年以上も前に未来を見据えていたその姿勢には、学ぶべき点が大きいです。
そして、今をときめく経営学者・入山章栄先生の言葉にも深く納得させられます。イノベーションは既存の知と既存の知の組み合わせで生まれるといわれますが、入山先生は「より良いイノベーションを生むためには“遠い知”― つまり目の前ではなく、なるべく自分から離れた遠くの知を幅広く取り入れる必要がある」と説いています。
「とことん考えて、苦しんだ末に結果を出す」のも大切ですが、「下手の考え休むに似たり」という言葉の通り、時には立ち止まることで見えてくることもあるのではないでしょうか。

関連記事

  1. ECRSの原則
  2. PMIとは-M&A成功の鍵-
  3. 経営悪化という病気を治すには ― 倒産を防ぐ早期対応のすすめ
  4. 目を閉じてトイレに行くことはできますか
  5. たかが10年、されど10年
  6. 事業承継
  7. 健康経営
  8. 異議あり!「事業再構築補助金」 その1
PAGE TOP