日本の少子化対策としての1000万一括支給案

日本の少子化は長年の課題であり、政府はこれまで様々な対策を講じてきました。例えば、児童手当の拡充や保育所の整備、育児休業制度の強化などが挙げられます。しかし、これらの政策は一定の効果をもたらしているものの、出生数を大きく押し上げる決定打とはなっていません。
少子化対策の本質は、「子供を産み育てることへのインセンティブをいかに強化するか」にあります。現状の政策では、すでに生まれた子供に対する支援が中心であり、私も高校生の親ではありますが、高校無償化になっても「もう一人産もう!」という動機には直結しにくいのが実情です。そこで、本稿では「出生数の増加」というシンプルな目的を達成するための政策として、新たに生まれた子供1人につき1000万円を一括支給する案を提案します。

1000万円一括支給の効果
この政策の最大のメリットは、子供を産むことによる直接的な経済的メリットを明確にすることです。現行の児童手当や教育支援は、出生後の支援として段階的に給付されますが、それでは出生の意思決定に大きな影響を与えることは難しいでしょう。一方、1000万円を一括で支給することで、経済的な理由で子供を諦めていた世帯にとって、明確なインセンティブとなり得ます。
また、用途を問わない形での支給とすることで、各家庭が自由に資金を活用できる点も重要です。例えば、住宅の頭金や教育資金として貯蓄する、子供の将来のために投資するなど、柔軟な選択肢を提供することで、制度の魅力を高めることができます。

財源と実現可能性
もちろん、この政策には大きな財源が必要となります。仮に年間80万人の出生数を前提とすると、総額8兆円の予算が必要です。しかし、少子化が進行し続けることで、将来的に年金や社会保障制度が維持できなくなるリスクを考えれば、必要な投資と捉えることもできます。財源の確保については、例えば高所得者層への増税や、相続税の強化、法人税の見直しなどを組み合わせることで、一定程度の捻出が可能ではないでしょうか。
また、この政策による出生数の増加が経済成長を促すことも期待できます。出生数が増えれば、将来的な労働人口の減少を抑制し、消費市場の拡大にもつながるため、結果的に税収の増加も見込めます。

制度設計の課題
1000万円一括支給には、当然ながら慎重な制度設計が求められます。例えば、不正受給の防止や、日本国籍を有する家庭への適用範囲の明確化などが挙げられます。また、どこかで制度適用になる出生日に線を引かなければなりませんが、数カ月、数日の差で適用外になった子供の親からは不公平だといった意見は噴出することでしょう。しかし、各方面に幅広く配慮してばかりいた結果、ちまちまと18歳までお金を配るという、目的にフォーカスしきれない政策になってしまい、効果が上がりません。

まとめ
少子化対策は、もはや小手先の施策では対応しきれない段階にあります。出生数を増やすというシンプルな目標に対して、大胆な政策が求められるのは明白です。1人1000万円の一括支給は、経済的な側面から子供を持つことの魅力を大きく向上させる施策となり得ます。財源の確保や制度設計の課題はあるものの、日本の未来を考えるうえで、たとえ反対意見が出てもこうした思い切った政策の検討が必要ではないでしょうか。

中田麻奈美

関連記事

  1. 年末ジャンボを買う理由
  2. SDGs
  3. ITシステムのBCP対策
  4. 中小企業診断協会に入ろう!
  5. 広島カープのリーグ優勝から学ぶ
  6. 軽減税率の始まりと行きつく先
  7. 夏の読書
  8. 知的資産(強み)を発掘!見える化しましょう
PAGE TOP