異議あり!「事業再構築補助金」 その3

前回の私からの質問に対する答えです。解決策などありません。

そこで困った補助事業者はどうするかというと、顔なじみの建設業者に見積を依頼し、その際その見積書と各項目が全く同じで、金額だけが違う他社の見積書も作成してもらうようお願いするのです。ただこのやり方は、最初から建築を請け負う業者が1社に決まっている訳ですから、2者以上の建設会社から見積書をとった意味は全くなく、談合であり、不正なやり方と言えるものです。でも事業者はこうするしか方法がないのです。

中小企業庁は建築に関しての実態が全く分かっておらず、不正は認めないと言いながら自ら不正を助長しているとしか思えません。

 

もちろん事前に設計事務所に設計を依頼し図面を作成してもらい、その図面で施工する場合の工事見積書のフォーマットを作って、それを2者以上の建設業者に渡して金額、数量だけを入れて見積書を出してもらえば、すべての項目の名称が同じ見積書は作成できます。しかしこの場合も設計事務所に払う設計料が50万円以上なら2者以上の設計事務所から設計料の見積書を求めなければならず、同じ問題が発生します。よほど小さな建物でない限り設計料が50万円未満などということはありません。

 

  • 業界の常識無視の中小企業庁が、混乱と不正を煽る

建物費の見積書に関してもう一つ、目を疑うような内容が記載されています。上述の「よくある交付申請時の不備」のところに次の文言があります。

【諸経費】のみでは、使途が不明であるため、原則、補助対象経費として認められません。具体的な内訳の記載が必要です。(内訳を記載いただいた上で、事務局にて内容確認を行います。その結果、補助対象外となる場合もございます。) ※現場管理費、一般管理費や雑費等も同様です

 

要するに「諸経費」という項目は認めないということです。確かに一般の市民が初めて住宅を新築する場合、建設会社から見積をとったら「諸経費」という項目がありしかも結構な金額が載っているので、「これはぼったくりか?」と思うことはあるかもしれません。

しかしインターネットで「諸経費とは」で検索してみれば、諸経費には様々な細かな経費が含まれていることがわかります。具体的に何をどのくらいの数量で単価がいくらかといった記載ができないものの集合体が諸経費として、工事費の△△%といった形で記載されています。詳細な計算ができなくても実際に費用としてかかるものはたくさんあります。また建設業界の見積書で諸経費の計上は特殊なものでもなく、当たり前のものとして計上されるのが常識です。逆に諸経費が計上されていない見積書があるなら見てみたいものです。

「集合住宅管理新聞アメニティ」のホームページに「工事見積書の諸経費とは何の費用なのか?」(2019年6月号掲載)を読んでみると、見積書の諸経費にはいかに様々な費用が計上されており、建設会社にとっては単に利益の上乗せ、意味のない費用ではないことがよくわかります。

 

諸経費の計上が認められないため、補助事業者は建設会社が作成する見積書には「諸経費」という項目は除外するよう依頼します。だからといってその分安く請け負ってしまったら建設会社は損をしてしまいますので、材料や労務単価の上乗せ、人工数、材料や消耗品等の数量上乗せをして帳尻を合わせます。そうせざるをえないのです。

 

中小企業庁は一般市民とは違います。中小企業庁は中小企業を支援する立場であり、建設業は全産業の中でも非常に高い割合を占める産業のひとつです。その建設業界の常識も知らずにこのような訳の分からない指示を出すことに疑問を感じます。

 

これは私見ではありますが、補助金を不正受給しようと思えば、最もやりやすく、バレにくいオーソドックスな手法は、補助事業者と建設会社が結託し、上述のような単価や数量の上乗せで、実際の見積書より高い見積書を作成し、差額の浮いた分を両社で山分けにすることです。中小企業庁の訳の分からぬ指示により、業界の常識を逸した見積書を作成することが補助金受給に必要だということが知れ渡れば、不正受給を逆に煽ることになるのではないかと危惧いたします。

他にも言いたいことが山ほどありますが、今回はこれくらいで。皆さんのご意見、ご感想をお待ちしています。

The End

金丸修一

関連記事

  1. 行きはよいよい?
  2. ISO9001規格2015年版
  3. SDGs「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の大きな効果…
  4. 目を閉じてトイレに行くことはできますか
  5. 価値観の多様性と企業支援
  6. 自然から学ぶ「素振り」のすすめ
  7. どうする?どうなる?HACCP義務化
  8. リスク
PAGE TOP