山林の整備と所有者不明問題

実は、親から相続した山林を所有しています。高ボッチ高原に向かう道沿いにある里山で小さな土地なのですが、秋になると雑キノコが生えるので、山の確認も兼ねてキノコ採りにいっています。今年はじこぼう(ヌメリイグチ)が豊作で、煮物にしたり、そばに入れたりして食べていました。そんな話を友人にしたら、「キノコを採りたい」というので、山に案内し一緒に採取しました。その時にふと気づいてしまったのです。「自分の山なのに、藪が多くて、入れない場所が多い」ことに。これではいかんと少し手入れをしようと思い立ったのですが、そこで不都合な事実に気づきます。

山を手入れする道具とスキルがないことと、隣地との境界が明確に分からないことです。道具とその使い方についてはアマゾンとYouTubeで何とかするにしても、境界が不明なことは一人ではどうにもなりません。境界の確認には隣地の所有者の立ち会いが必要になりますが、所有者へ連絡する手段がないのです。昭和30年代に作られた測量図はあるものの、そこに載っている方はすでに亡くなっているでしょうし、現在の所有者に連絡するには、登記簿を取り寄せて所有者名を確認した上で、何らかの方法で現在の所有者の住所や電話番号を調べる必要があり、大変な困難が予想されます。もし、遺産分割をしないまま数世代にわたり相続が繰り返されていると、所有者がねずみ算的に増加している可能性があり、また個人情報である住所や電話番号を個人が知ることは非常に困難です。

このような問題は全国でも生じており、所有者不明の土地の割合は日本国土の24%にも達しています。そこで国では「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」を行い、令和5年4月より順次法律を施行します。その骨子は、①相続登記の申請義務化と所有者の住所変更登記の義務化、②所有者不明の土地に対する管理制度の導入、③相続した土地を国に帰属させる制度の導入です。要するに、その土地を誰が所有しているか分かるようにして、いらない土地は国が管理しましょうということです。しかし、相続がからんでおり息の長い話になります。

長野県では森林税を導入して、里山の整備を進めようとしていますがが、所有者が特定できない山林が多ければ、整備も容易には進まないでしょう。そういうわけで、私の山も県が主体で整備を行ってくれる期待は持てません。
そこでどうしようかと考えて、親から教わった大体の境と木の植生の違いを目安にぼちぼちと藪木の伐採を進めていこうかと思っています。隣地の方から文句を言われたら、その時点で管理者が分かるので、境のことで話ができるでしょう。後は刈払機やチェーンソーの使い方をどう覚えるかです。けがをしないようにYouTubeの先生方からしっかり学ぶようにします。

黒澤 正行

 

関連記事

  1. 自分自身を知る
  2. 中小企業診断士は「逆Tの字型」の事業展開を
  3. 診断士としての心構え
  4. ISO9001規格2015年版
  5. 「努力の行先」
  6. SNSの利用価値
  7. 中小企業診断協会に入ろう!
  8. 特例事業承継税制がスタート
PAGE TOP