山を走ることが、地域を元気にする!トレイルランニングと地域活性化の可能性

私は東京在住の中小企業診断士の羽田 巧です。趣味でトレイルランニングを楽しんでいます。
トレイルランニングとは、舗装された道路ではなく、山道や林道などを走るスポーツです。急な上り坂で息を切らし、木の根や足元の石に気を配りながら、一歩ずつ進みます。ハードな競技ですが、山の空気や季節の移ろいを全身で感じられることが大きな魅力です。
2026年9月26日(土)、長野県長和町で開催された「Shinshu NAGAWA MOUNTAIN TRAIL 2026」に参加しました。会場はブランシュたかやまスキーリゾート。中央分水嶺エリアの豊かな自然を生かし、45kmや15kmなどの種目が用意された大会です。
当日はあいにくの雨で、期待していた絶景を一望することはかないませんでした。それでも、霧に包まれた幻想的なトレイルを進む時間は、都会では味わえない「自然の中に身を置く贅沢」そのものでした。そして走りながら、「また、この場所を訪れたい」という思いが強く湧き上がってきました。
トレイルランニング大会の価値は、ランナーが走ることだけにとどまりません。地域外から多くの参加者が訪れることで、宿泊、飲食、買い物、温泉利用といった消費が生まれます。私自身も今回の参加を通じて、地元の新鮮な農産物や乳製品、温かな温泉など、長和町の多彩な魅力に直に触れることができました。
これは、まさに「スポーツツーリズム」の考え方です。スポーツ庁も、スポーツ大会などを目的に地域を訪れ、地域資源と結びついた観光を楽しむスポーツツーリズムを、交流人口の拡大や関連産業・関連消費の拡大など、地域活性化・まちづくりにおける重要な要素の一つとしています。
さらに、長和町で興味深いのは、この大会を「一日限りのイベント」で終わらせない仕組みづくりを行っている点です。長和町スポーツコミッションは、大会の開催を契機にふるさと納税を活用し、「霧ヶ峰・美ヶ原中央分水嶺トレイル」の保全や環境整備を進めています。地域や自然を共に大切にする「関係人口」の創出を目指す取り組みです。
中小企業診断士の視点で捉えると、地域資源は、単に存在しているだけでは十分な価値を生み出しません。
「美しい山々」「歴史ある街道」「食」「温泉」といった魅力を、「訪れる理由(コンテンツ)」「体験する仕組み(ストーリー)」「地域で消費する機会(導線)」へと構造化してつなげていく。そうしたつながりをつくることが、地域経済を持続的に動かす力の一つになるのではないでしょうか。
実は今回、私は途中でリタイアすることになってしまいました。しかし、山を走り、その土地の風土や人に触れた後に残ったのは、
「また、この町に来たい」
という温かな気持ちでした。
完走できたかどうかにかかわらず、現地で得た体験や記憶は深く心に残ります。その「また来たい」という素直な思いこそが、地域と個人の新しい関係の第一歩になるのだと感じます。
山を走るランナーと、その山を守り、日々の暮らしを営む地域の人々。
両者をつなぐ一本のトレイルには、地域を未来に向けて元気にする可能性が広がっています。
【参考・出典】
・長和町「【プレスリリース】Shinshu NAGAWA MOUNTAIN TRAIL 2026 エントリー受付開始のお知らせ」(2026年6月19日)
https://www.town.nagawa.nagano.jp/soshiki/sangyokensetsu/shokokankokakari/1/3/2/2935.html
・長和町スポーツコミッション「『Shinshu NAGAWA MOUNTAIN TRAIL 2026』を契機に、ふるさと納税でトレイル保全と関係人口の創出へ」(2026年7月13日)
https://nagawa-sc.com/post-596/
・スポーツ庁「令和8年度『スポーツによる地域活性化・まちづくりコンテンツ創出等総合推進事業(スポーツツーリズム・武道等コンテンツ創出事業)』の募集について」(2026年3月31日)
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/boshu/detail/jsa_00428.html








