「捨てる」ことについて

中小企業診断士の大根田です。私の勤務先が全面リニューアルすることになり、約1ヵ月半の工事期間中に業務を行う仮住まいに先週末、引越しをしました。
もともと職場はペーパーレス化を進める方針でしたが、このリニューアルを機にデスクの引き出しが半分以下に減ることになり、整理・整頓が苦手な私は大いに焦っています。
ただまあ、いざ取り掛かってみると作業の9割は目の前の書類を捨てるという判断をすることに終始しています。これまではその環境に慣れていたため、そこまで気にならなかったのですが、なんでこんなに必要ない書類を後生大事にとっておいたのかと愕然とします。
これは「捨てる」ということをいつか手が空いたらやる作業と位置づけていたことが招いた事態であり、今後は「捨てる」ということを定期的に行う一つの業務と位置づけるつもりです。
また、書類を「捨てる」ことについて明確な基準も持っていなかったため、「関連業務が終わったら捨てる」「○年保管したら捨てる」などの基準をもって、捨てることをやり易くしていくことも考えています。
さて、書類を大量に捨てながら、改めて「捨てる」ことについて考えてみると、単なる整理にとどまらない、重要なことなのだと実感します。
〇人間関係を捨てる
こう書いてしまうと、なんか世捨て人みたいな生活をイメージしてしまうかもしれませんが、そこまで極端なことではなく、程よく人付き合いを減らすというイメージです。
飲み会やらゴルフやらマラソンやら旅行やら診断士活動やらと、幸いにも色々お誘いはありますが、全てに付き合っていけば消化不良を起こします。こういう表現は誤解を招きますが、「自分にとってメリットのあるお付き合い」かどうかを判断基準として構わないと思います。目下のところ私は「飲み会の最後まで付き合わない」ことに取り組んでいます。まあ、最後まで残るのは楽しいんですけどね。ほとんど記憶に残らないですしね。
〇選択肢を捨てる
「ジャムの法則」が有名ですが、人は選択肢が多すぎると選択したくなくなるという心理傾向を持っているそうです。
日々の仕事をこなしていく中で、「できるのであればやった方がいいこと」というのは限りなく出てきます。これは自分が思いつくだけでなく、職場内で上がってくる様々な提案などもそうなのですが、その一つ一つを俎上に載せて吟味しようとすると、本当にやるべきことを吟味するためのリソースが足りなくなってしまいかねません。
私は企業内診断士という名のサラリーマンなので、経営にはほとんど携わっていませんが、実際の経営現場ではより当てはまることなのではないかと推察されます。
人間、個人差はあれど、1日、1ヵ月、1年という単位で活動できる時間は限られています。その中で、本当に自分がやりたいこと、やるべきことに最大限の注力ができるようにするため、何かを足すのではなく引く(捨てる)ことが重要なのではないでしょうか。
最後に私が好きなスティーブ・ジョブズの言葉を載せて本コラムを締めくくりたいと思います。
「フォーカスするということは、フォーカスすべきことに対してイエスと言うことだと思われている。しかし、それはまったく違う。それは100の優れたアイデアに対してノーと言うことだ。選択は慎重にしなくてはならない。私は実際、やらなかったことに関しても、やり遂げたことと同様に誇りに思っている」








