「引き際」と「やめ時」──それでも私が立ち止まらない理由
こんにちは。中小企業診断士の木内孝信です。
先日の参議院選挙の報道を見ていて、ふと考え込んでしまいました。
大きな敗北を喫した政党が、なおも体制を維持しようとする姿。
それは政治の世界の話ではありますが、どこか経営にも通じるような感覚を覚えました。
経営者にとって、「引き際」はとても難しい判断です。
業績が悪化しても、「もう少しだけ頑張れば…」という想いがよぎる。
周囲から「そろそろやめたら」とささやかれても、「ここでやめたら後悔するかもしれない」と、つい踏ん張ってしまう。
そんなことを考えているうちに、「自分自身はどうだろうか」と省みる時間が生まれました。
私は今、「ローカルメリットクラブ」という事業を行っています。
これは、長野県内の企業と地元店舗、そして地域で暮らす人々をゆるやかに結びつける、地域循環型の福利厚生サービスです。
地元で働く人が地元のお店を利用し、店舗は新たな顧客との接点を得て、地域の中でお金とつながりが循環していく。そんな仕組みをつくろうとしています。
とはいえ、決して平坦な道ではありません。
なかなか利用が伸びず、「もうやめたら?」という言葉を何度も聞いてきました。
実際、事業として成立するのか、悩んだ日も数え切れません。
けれど、不思議とやめようとは思わなかったんです。
なぜなら、それが“使命”だと思っているから。
誰かがやらなければ、地域の経済はじわじわと外に流出していく。
この仕組みは、たとえすぐには成果が出なくても、やがて地域のインフラになる──そんな根拠のない確信が、今も私の背中を押しています。
最近では、大学生にもこの仕組みを体験してもらいたいという思いから、長野県内の大学との連携にも取り組んでいます。
現在、公立諏訪東京理科大学の学生には、ローカルメリットクラブのIDとパスワードを無償で配布しています。
さらに来春からは、公立大学法人長野大学の学生にも同様の取り組みを始める予定です。
これで、県内の公立大学では2校目となります。
大学生活を長野県で過ごす学生に、地域の魅力を実感してもらい、「長野っていいな」「このままここで働きたいな」と思ってもらえたら──。そんな想いを込めています。
そして、たとえ一度県外に就職したとしても、第二就職や人生の転機の中で、再びこの長野に戻ってきてくれる未来があると信じています。
事業を続けていると、最初は見えなかった景色が少しずつ見えてきます。
最初は無理だと思っていたことが、誰かの支えで現実に近づくこともあります。
引くことが責任になる場面もあれば、踏みとどまることが信念になる場面もある。
どちらも正しい。だからこそ、悩むのです。
でも、自分の中に「これだけは譲れない」と思える大義があるなら、もう一歩、踏み出す価値があるのではないでしょうか。
今日も、ローカルメリットクラブという挑戦の先に、
地域の未来が少しでも灯ることを願いながら、前に進んでいます。
ローカルメリットクラブ https://localcolor.or.jp/







