令和6年度補正予算にみる補助金動向

こんにちは。中小企業診断士の中田麻奈美です。
今回は昨年11月末に閣議決定した令和6年度補正予算から、中小企業向けの施策のうち、私が特にいいね!と思った補助金をピックアップしてポイントを絞ってご紹介します。

① ものづくり補助金
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_mono.pdf
言わずと知れた老舗感のある補助金ですね。私が注目している改正点は、「収益納付が不要」ということです。これまで、せっかく補助事業を頑張って利益を出すと、その分補助金を返還(実際には返還ではないのですが、納付する側からすれば返還の気分ですよね)しなければならなかったのです。逆に、利益が出なければ納付義務なしという不公平感がありました。今回は頑張ったもの勝ちといえる施策で、モチベーションも上がりますね。
従業員数に応じた補助上限も拡充され、大きめの企業様の大型投資にも使いやすくなっております。

② IT導入補助金
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it.pdf)
不正が問題になったことでも名高い、これも老舗の部類の補助金です。より小規模な企業向けの補助率が上がったり、少額でも対象になるなど、国としてもIT化の底上げを図りたい意図が透けて見えます。

③ 事業承継・M&A補助金
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_m_and_a.pdf
様々な枠がありますが、企業様にご紹介する中で意外と知られていないと思うのが、「売り手支援」もあるということです。M&Aが一種のブームとなる中、妙な買い手に騙されて現預金だけ抜かれるような事案も散見されています。しっかりとした専門家に仲介してもらいましょう。当協会でもサポートしております。

④ 新事業進出補助金
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu.pdf
いわゆる事業再構築補助金の焼き直しです。事務局は違う事業者が担うことを切に願います…。新たに、賃上げ要件が追加されました。また、ものづくり補助金もそうですが、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表することを求められています。要するに社員の子育て支援ですね。
なお、こちらも収益納付は不要になりました!

⑤ 成長加速化補助金
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/seicho_kasokuka.pdf
わたし的に大本命がこの新設の補助金です。売上100億円を目指す企業の設備投資等を応援するもので、建物費が対象になることが見逃せません。1億以上の投資で、補助上限は5億円(補助率1/2)ですので、中小企業の工場の新築・増築にもピッタリだと思います。無理な新規事業などではなく、既存事業の拡大に使えるのも新事業進出補助金より使いやすいポイントです。

⑥ 大規模成長投資補助金
https://seichotoushi-hojo.jp/
こちらは成長加速化補助金よりもさらに大規模な中堅企業様向けになります。補助上限はなんと50億円(補助率1/3以内)。ただし10億以上の投資が必要です。これも建物費が対象になります。

⑦ 省力化投資補助金(一般型)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shoryokuka.pdf
これも、わたし的に大本命の補助金です。既に本コラムでもカタログ型については紹介がありましたが、カタログ掲載の機種のみが対象であり、業界のロビー活動の巧拙が色濃く反映されているような雰囲気がありました。今回新設される一般型は、ものづくり補助金のように、自社が必要な省力化設備への投資が対象となります。もの補助のように革新性は求められないため、純粋な省力化(生産性向上)のための設備投資に使えるのが嬉しいポイントです。

これらの補助金は、公募開始時期が発表されているものもあります。公募要領をよく読みこまないと分からない部分もありますが、ねらい目の補助金については、すぐにスタートダッシュできるように事業計画のラフは描いておき、投資内容の検討や見積を取るなどの用意は早めにしておいたほうがよいと思います。
計画策定や申請について分からないことがあれば、当協会に是非ご相談ください。

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