最近、「原価管理とコストダウン」の基礎的な教育プログラムに触れる機会がありました。
このプログラムは、製造業の現場人材を教育するプログラムです。
原価管理にはいろいろな捉え方がありますが、とどのつまりは、損をせず、利益が出るように製造原価をコントロールすることだと考えられます。
特に中小企業において顕著なのかもしれませんが、経理部門とトップマネジメント以外のメンバー(≒このプログラムを受講している人たちがほぼ含まれます)は、財務諸表を見る機会があまりありません。言い換えると、企業全体を数字で見ることに慣れていないと言えます。
そのような受講生を対象としたプログラムの冒頭で、講師は損益計算書と貸借対照表の意味を話し始めました。新鮮な体験でした。
原価管理も、コストダウンも、業務改善も、損益計算書と貸借対照表(財務諸表)で表現される企業の業績をより良くするためのアクションであるべきです。
受講者の苦手分野だと承知の上で財務諸表の説明を冒頭に持ってきたこの講師の組み立ては、管理が、改善が、「目的」にならないようにしたいという強いメッセージだと感じました。
組織論の考え方で、規則や手続きの遵守が優先され、それが何のためにつくりだされたかが忘れられてしまうことを「官僚制の逆機能」と呼ぶことがあります。
何ごとも本質を見誤らないようにしたいと感じる時間でした。
土屋靖彦