廃業のご支援を始めていきます

小規模企業様の事業引継ぎをご支援して8年目になります。最近は、80歳以上の経営者からの相談が増え「引継ぎ待ったなし」の状態です。親族に後継者がいないケースが殆どで、従業員への引継ぎ、地域内企業への引継ぎ、創業希望者への引継ぎなど、様々な手段を尽くしています。
しかし、従業員への引継ぎについては経営者保証の問題、地域内企業への引継ぎについては経営上シナジー効果(相乗効果)の問題、創業希望者への引継ぎについてはビジネスに対する価値観の違いなど、多くの障壁があり、なかなか引継ぎを実現できないのが実態です。
数年にわたり、引継ぎ相手を探されていた会社がありました。いろいろな方法を尽くしましたが、良いご縁は見つけられず、経営者ご自身、ご家族の体調都合から、タイムリミットとなり廃業しました。廃業しても、その後の生活資金が心配とのことです。自身のお金は会社につぎ込んでしまっており、介護施設への入居や通院のお金を、どうやって工面したらよいかと話していました。
帝国データバンクの『全国企業「休廃業・解散」動向調査』によると、2023年の休廃業動向(59,105件、前年比10.6%増)は、休廃業する経営者の平均年齢が若年化しています。これについて、コロナ禍の給付金等の支援策が徐々に縮小されたことに加え、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せたため、これまで先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られ、やむなく会社を畳んだ『あきらめ廃業』を余儀なくされた中小企業が多く発生した可能性がある、と推察しています。しかし廃業をしたからといって、ハッピーリタイアとはいきません。手元の生活資金が少ない中、老後生活を年金だけで賄っていくことは難しい状況です。
今後、自身としては廃業のご支援を始めていきます。「事業」の引継ぎにとらわれず、顧客、技術・ノウハウ、不動産といった「経営資源」の引継ぎに注力していきます。長野県にはコロナ禍で、若年層の移住・半住などの生活スタイルが定着しつつあり、長野県で創業希望の方々も増えてきております。また、コロナ禍で自社での設備投資が難しくなっている事業者様も見うけられます。こうした方々に、良いご縁として、うまく引き継げればと思います。引継ぎに際し、多くの障壁があることも承知しております。長年ご苦労されてきた事業者様のハッピーリタイア、地域経済の再活性化、を想い、考動していく次第です。
柳澤智生