製造業(中小企業)の生き残る道は技術力
皆さんこんにちは。中小企業診断士の松下晴計です。少し長いですが製造業に興味のある方に最後まで読んでいただければ嬉しいです。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は我が国経済に大きな影響を及ぼしており、製造業においてもその影響は免れていません。コロナ感染が拡大と終息を繰り返すことによりサプライチェーンが分断され、半導体をはじめ部品不足が生じ、また物流も混乱しました。この状況の中で2022年2月にロシアによるウクライナ侵略戦争が勃発し原油価格が高騰し混乱に拍車をかけました。2022年版ものつくり白書によると製造業界が抱える課題は、短期的には上記の社会的な混乱による資源価格の高騰への対応とサプライチェーンの強靭化であり、長期的には2050年に向けたカーボンニュートラルへの対応と人口減少よる労働力不足への対応であり、加えてこれらの課題に対応するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)への取組であるとしています。自動車業界が100年に一度の変革期を迎えているといえばイメージができるでしょうか。
このような経営環境においては大手のセットメーカーといえど従来のビジネスモデルから脱却する必要があり、新たなバリューチェーンの構築、ビジネスモデルの組み換え、経営資源の大胆な再構築を模索しています。この影響はセットメーカーを顧客とする中小企業にも確実に及ぶ状況となっており、従来のセットメーカーを頂点とするヒエラルキー構造の下位のままにいては生き残れません。下請企業として顧客の指示を待つのではなく、自社の技術力、製品の質、開発力、提案力を磨き上げてパートナーとして顧客の課題解決に貢献する企業が生き残れるのです。中小企業の製造業が生き残るために必要な技術開発課題は以下の2点です。
1.自社の固有技術を磨き上げ、できれば知財化する
2.DX (IoT・AI)を活用した生産性向上と価値創造に取り組む
しかし中小企業にはIT人材を含めて技術開発に関わる人的リソースが不足しており単独で取り組むには限界があるため、積極的に外部リソースを活用することをお勧めします。長野県では公的な支援機関として長野県工業技術総合センターがあり、材料、加工、IT活用の技術支援が得られます。また、教育・研究機関である信州大学や諏訪東京理科大学においても企業の技術支援を行っています。大学の研究テーマは敷居が高いと思いがちですがそんなことはなく、企業目線で技術課題の相談に乗ってくれます。長野県の多くの製造会社が生き残れるように、支援者の方々も地域の技術支援機関を活用してください。