「アマゾン・エフェクト」
中小企業診断士の内田英明です。
数多くの方が、アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)でのネットショッピングを利用していると思います。アマゾンについての詳細はここでは割愛しますが、現在では社会インフラ的な役割を担う存在とも言えます。
このアマゾンの強大な影響力が、「アマゾン・エフェクト」として注目され、すでに米国のさまざまな業界で顕在化しています。「アマゾン・エフェクト」とは、アマゾンが次々と進出する業界で業績の低迷にあえぐ企業が増えている現象で、百貨店やスーパーにとどまらず、生鮮品や衣料品、コンテンツ産業など幅広い業態に及んでいます。さらにアマゾンは「ネット」から「リアル」へも進出しており、スーパーの買収を起点にリアル店舗網の構築を本格的に開始しており、おそらく今後日本でも同様の動きが始まる可能性が高いと個人的には考えています。
アマゾンはその圧倒的なデータ活用力を発揮して、リアル店舗への進出によりその影響力をさらに増大させると予想できます。物販ビジネスでは今後業種・業態を問わず、「アマゾン・エフェクト」を意識した事業戦略が不可欠になると思われます。
■戦略の1つの切り口は「『アマゾンにできないこと』をやる」
アマゾンの主要な事業領域はやはりネットであり、リアル店舗で差異性を模索するのが戦略の指針になります。その基本的なコンセプトは「今だけ」「ここだけ」だと思われます。数量や時期が限られた商品は大量流通が不可能で、「アマゾンにできないこと」の1つです。たとえば、材料が限られている、あるいは作り手が限られている商品は、当然供給量も限定されます。また、自社ブランドを確立し商品化できるのでれば、これも「アマゾンにできないこと」になります。
■「コト消費」へシフト
さらに「コト消費」の観点から戦略を検討することも有用です。消費者の購買志向において「モノ」から「コト」への移行が指摘されており、たとえば大相撲が連日「満員御礼」であることも、こうした購買行動の変化を裏付けています。
物販ビジネスでも、「コト」の付加を模索することが必要になると思います。店舗イベントの企画~開催なども選択肢の1つであり、また店舗でのさまざまな体験・体感を来店客に提供するための人的接客の充実を追求しても良いでしょう。