代行サービスと新価値創造

今、様々なサービスが自動化またはセルフサービスに移行しています。古くはATMやETC、最近ではホテルのチェックインやコンビニのコーヒーなんかはその典型でしょう。
これらのサービスが普及している背景には、もちろん技術的な進歩がありますが、特徴的なのは、自動化またはセルフサービスになっても消費者の価値は下がることがないということです。むしろ上がることの方が多いのです。

ATMの普及により、ただ現金を引き出すだけのために窓口で待たされることはなくなりました。高速道路の渋滞に悩まされることは激減し、しかも料金は下がったのです。
サービスを提供する側の企業も、人件費や時間コストを抑制することができ、その利益に預かれました。セルフサービスが進んでいる理由は、まさにここにあるのです。Win-Winの関係です。もはやこの流れに抗うことは得策とはいえません。

昔ながらのフェイス・トゥ・フェイスのサービスを重んじる企業は今なお多くあります。しかし、それらは限定的になってきています。インターネット上でのサービスに慣れたデジタルネイティブは、ただ日用品を購入するのに、わざわざ人的なサービスを欲しようとはしません。ましてや、その追加サービスに料金を支払おうとはしないのです。

新しくできるガソリンスタンドで、フルサービス型は皆無といっていいでしょう。消費者はセルフ型のサービスを望んでいるということです。
昔ながらのフルサービス型のガソリンスタンドでは、セルフ型に負けじと笑顔でお客様を出迎え、窓を拭いたり、ブレーキランプを点検したり、空気圧を調整してくれたりと様々なサービスを付加しています。料金は満タンに入れても、わずか数百円高いだけです。しかし顧客は、数百円安いセルフ型に流れています。これは言い換えれば、「そのサービスには100円の価値もありませんよ」と言われているのも同じです。

セルフ型に切り替えられるサービスは、そもそも代行サービスなのです。代行サービスに顧客は高い価値を感じません。自分ではできないことを、代わりにやってくれるから高い料金を支払うのです。

少し話は逸れましたが、AIやロボティクスの進歩によりセルフサービスやサービスの自動化はさらに進むでしょう。それは顧客にも自社にとっても大きなメリットを生み出します。もし、現在の既得権にとらわれてサービス形態を切り替えられなければ、前述のガソリンスタンドのようなことになってしまうかもしれません。

セルフ型や自動サービス化によって、余剰となった時間や人員をどう新しい価値の創造に再投資できるか、それがこれからの課題なのです。

高山

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